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逮捕・刑事事件Q&A
コラム「刑事弁護と憲法について」
弁護士はなぜ悪い人を弁護するのですか?
私を含めて多くの人たちは、自分が犯罪者になることなどなく、したがってまた、自分が犯罪者であるという嫌疑をかけられることもあり得ないと無意識的に信じながら生活していますよね。そこで、凶悪犯罪などが報じられると、どうしても、こんな悪いやつは社会のためにも徹底的に罰すべきだと思ってしまいがちです。
しかし、このような場合はどうでしょうか。自分は犯罪を犯してもいないのに、捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられてしまったとき。
また、犯罪を犯してしまったことは間違いないが、味方となってくれる弁護人が1人もいないとき。
可能性は低いかもしれませんが、このようなあってはならない悲劇が起こりうるかもしれないことを想定しながら、あるべき刑事裁判の理想の姿を考えてみることもたまには有益だと思いますので、一緒に考えてみましょう。
確かに、犯罪を犯した人を処罰することは社会にとって必要なことです。しかし、それと並んで、刑事裁判においては、その人が証拠上有罪と認定されて刑罰が科されることが確定するまでは、どんな人でも、無罪の推定を受けるということが近代司法の大原則なのです。
なぜなら、このように無罪の推定を受けている被告人が、その権利・利益を守られながら、適正な手続を経て裁判が行われるからこそ、裁判の結果である判決に対して、国民の理解や信頼も得られることになるからです。
そこで、私たち国民は、このような刑事裁判における基本的考え方を、憲法で、「適正手続の保障」、「裁判を受ける権利」、「弁護人選任権」として定め、いかなる事件であっても、被告人にはその権利・利益を守る弁護人を選任する権利を認め、弁護人には被告人に刑罰を科す裁判手続が適正に行われているかどうかを監視する責務を課したのです。
したがって、弁護士はこのような国民の皆様の付託を受けて、犯罪者であるとの嫌疑をかけられている人を本当に犯罪を犯した人として処罰してもいいのかどうかという観点から、被告人の立場で事件を捉えて、弁護活動をしているのです。
以上