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「福井女子中学生殺人事件」再審開始決定に関する会長声明
本日,名古屋高等裁判所金沢支部は,いわゆる「福井女子中学生殺人事件」に関する再審請求事件(請求人前川彰司氏)について再審開始の決定をした。
本件は,1986年(昭和61年)3月,福井市内において,女子中学生が殺害された事件である。前川氏は、事件の1年後に逮捕され起訴されたものの、一審福井地方裁判所において,1990年(平成2年)9月26日,無罪判決を獲得した。
ところが,名古屋高等裁判所金沢支部は,1995年(平成7年)2月9日,一審の無罪判決を破棄し、逆転有罪判決(懲役7年)を言い渡し、また,最高裁判所も,1997年(平成9年)11月12日,上告を棄却し,控訴審判決が確定した。
これに対し,前川氏は,2004年(平成16年)7月,日本弁護士連合会の支援の下に,名古屋高等裁判所金沢支部に再審請求を申し立て、本日の再審開始決定となった。本件は、前川氏に不利な証拠がもともと極めて脆弱かつ不当な目撃証言のみしか存在しない事件であり、刑事訴訟の大原則からして、一審判決が正当なものであった。
当会も、再審請求時に、名古屋高等裁判所金沢支部管内の単位弁護士会として、再審開始へ向けて、支援することを表明してきた。
そして、本日の名古屋高等裁判所金沢支部による再審開始決定は、前川氏及び弁護団そして支援されてきた方々の努力のたまものであるとともに、正当な判断であり,無罪への第一歩を記したものとして評価するものである。
検察官に対しては、公益の代表者として,本決定につき異議申立てを行うことなく,速やかに再審公判への途を開くことを求める。
金沢弁護士会は,今後も,再審開始決定が確定し,同氏が無罪判決を勝ち取るべく支援を続けるとともに,捜査機関の保有する証拠の全面開示といった,えん罪を防止するための制度改革を実現するべく全力を尽くす決意である。
2011年(平成23年)11月30日
金沢弁護士会
会長 智口成市