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「袴田事件」の速やかな再審公判開始及び袴田巌氏の雪冤を求める会長談話
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「袴田事件」の速やかな再審公判開始及び袴田巌氏の雪冤を求める会長談話
東京高等裁判所第2刑事部は、2023年3月13日、いわゆる「袴田事件」の第2次再審請求の差戻後の即時抗告審について、原決定(静岡地裁2014年3月27日決定)に対する検察官の即時抗告を棄却し、再審開始を認める決定をした(以下「本決定」という)。
「袴田事件」の概要及び審理経過は、当会の2023年3月17日付「「袴田事件」第2次再審請求の差戻後の即時抗告審決定に対する会長声明」で述べたとおりであり、原決定における再審開始決定に対して検察官が即時抗告したことによって、これが確定するまでに実に9年もの歳月を要する結果となった。
再審開始決定が確定したことにより、裁判のやり直しを行う再審公判が開始されることになるが、報道によれば、検察官は、同年4月10日に開かれた三者協議の場において、再審公判における立証方針を決定するために3か月を要するとして、明確な方針を表明していないとのことであり、再審公判の手続の長期化が懸念される。袴田巌氏が87歳と高齢であることや、拘禁反応の影響と思われる心身の状況をも鑑みれば、同氏の救済に一刻の猶予も許されないというべきである。
再審開始決定に至る長期の審理において、本件の争点についての審理は、既に十分尽くされており、検察官が新たな有罪立証を行うことは許されないというべきである。
当会は、速やかに再審公判が開始され、袴田巌氏に対する無罪判決が出されることを強く求める。また、えん罪被害者を速やかに救済していくために、当会は、政府及び国会に対し、再審における証拠開示の法制化、再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、再審公判の手続規定を含む刑事訴訟法の改正を行うことを求める。
以上
2023年(令和5年)5月16日
金沢弁護士会
会長 織 田 明 彦