-
低賃金労働者の生活を支え地域経済の活性化を実現するために最低賃金額の引上げと中小企業への支援強化を求める会長声明
低賃金労働者の生活を支え地域経済の活性化を実現するために
最低賃金額の引上げと中小企業への支援強化を求める会長声明
低賃金労働者の生活を支え地域経済の活性化を実現するために最低賃金額の引上げと中小企業への支援強化を求める会長声明(PDF書類)
第1 最低賃金額の引上げ
ロシア連邦のウクライナ侵攻が長期化している影響などにより、食料品や光熱費など生活関連品の価格が、依然として上昇している。総務省が発表している消費者物価指数は、2020年を100とすると、2023年4月分は105.1、2024年4月分は107.7となっている。労働者の生活を守り、経済を活性化させるためには、大企業だけでなく中小・零細企業も含めた全ての労働者の実質賃金の上昇又は維持を実現する必要があり、そのためにはまず最低賃金額の引上げが必要である。
なお、2024年6月21日に閣議決定された、「経済財政運営と改革の基本方針2024」においても、「春季労使交渉における力強い賃上げの流れを中小企業・地方経済等春季労使交渉以外の分野でも実現し、物価上昇を上回る賃金上昇を達成し、定着させる。」との方針が示されている。
第2 中小企業への支援強化
最低賃金を引き上げることによって,中小企業の経営状況や雇用情勢に与える影響は小さくなく、様々な価格上昇は労働者のみならず中小企業にとっても深刻な問題である。特に、石川県内おいては、令和6年能登半島地震により多くの中小企業も被災していることから、事業再建にあたって最低賃金の引上げが負担となる可能性も否定できない。
この点に関しては、政府や地方自治体による、現在最低賃金引上げに使用者が対応できるようにするための各種支援(業務改善助成金制度等)の利便性の向上や、被災した事業者の事業再建のための各種支援制度(雇用調整助成金の柔軟な運用、社会保険料の事業者負担分の減免等)の継続や充実化によって対応すべきである。
労働者・使用者のいずれもが物価上昇や被災により厳しい状況にある地域経済を活性化させるためには、最低賃金の引上げとの言わば車の両輪として、中小企業の支援を強化する施策の実施こそが求められているのである。
第3 結論
最低賃金の引上げには地域経済を活性化させる効果もあり、被災した地域の経済が活性化することは復興にもつながるといえる。当会は、全国及び石川県において最低賃金額の引上げを図り、地域経済の健全な発展と災害からの復興を促すために、本年度、中央最低賃金審議会が最低賃金の引上げを答申し、さらに石川県の最低賃金審議会において最低賃金の引上げを決定することとともに、政府及び地方自治体による中小企業に対する各種支援策の強化を求めるものである。
2024年(令和6年)7月2日
金沢弁護士会
会長 髙木利定