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令和6年能登半島地震発災1年を受けての会長談話
令和6年能登半島地震発災1年を受けての会長談話
令和6年能登半島地震発災1年を受けての会長談話(PDF書類)
令和6年能登半島地震発災から1年が経過しました。改めまして、同地震で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。被災地では、被災者・支援者が一体となった懸命な努力の結果、復旧・復興の兆しが見られるようになってきていましたが、同年9月の奥能登豪雨災害により再び深刻な被害が生じ、早期の復旧・復興に向けて困難な課題が生じています。
1 複合災害で複雑・多様化するニーズに応える被災者支援の拡充
地震と豪雨という複合災害が発生したことで、被災者の直面する問題やニーズは複雑・多様化しています。ほとんどの被災者支援制度は単独の災害を前提としており、複合災害への支援として十分か否かは不透明であり、制度の間隙に陥る被災者が生じることも危惧されます。
当会は、これまで、全国の弁護士と連携しながら、無料電話相談の実施、現地説明会や各種法律相談会の開催、当会の弁護士があっせん人として和解による紛争解決を目指す災害ADR(裁判外紛争解決手続)の開催、自然災害債務整理ガイドラインへの取組み、ひまわりホットダイヤルの活用等を通じた被災事業者支援などを行ってまいりました。今後もこのような被災者支援を継続するとともに、被災者の複雑・多様化するニーズに応えるため、次の3つの被災者支援を拡充し、今まで以上に被災者の「生の声」に真摯に耳を傾け、適時に被災者が必要とする法的支援を届けつつ、関係各機関や団体と緊密に連携して課題の共有及び解決策の提言などを通して適切な支援が確保されるようきめ細やかな支援に取り組んでいく所存です。
(1) 輪島法律相談センターの新設
令和7年1月から輪島市に輪島法律相談センターを新設します。従前から珠洲市、能登町に設置されていた珠洲・能登町法律相談センター(旧能登法律相談センター)とともに活用することで、能登地域における定期的な法律相談の機会を拡充し、中長期的に震災からの復興を支援します。
(2) 訪問型相談の実施
被災者方を訪問して支援を行う、いわゆるプッシュ型支援の実施に向けて体制の整備を行っています。
(3) 建築士との連携強化
当会は、令和6年12月、複数の建築士団体から構成される能登復興建築人会議との間で、被災者支援のための相談支援業務に関する協定を締結いたしました。公費解体の申請期限が迫る中、建築の専門家と連携して被災者支援を行える体制の整備に努めています。
2 被災者の声を届ける活動
当会は、罹災証明手続・公費解体手続等の申請期限、奥能登豪雨災害の特定非常災害指定の問題等につ いて、被災者支援の中で受け取った被災者の声を関係各機関や団体に伝える活動も行ってまいりました。今後も、能登半島地震の被災者に対する日本司法支援センター(法テラス)による援助業務を拡充する特例法の制定、被災者に関する資力を問わない無料法律相談の実施を可能にする総合法律支援法の改正に向けた活動等に努めます。
3 金沢弁護士会はいつまでも被災者に寄り添います
当会は、このような被災者支援を通じ、引き続き復旧・復興が実現されるその日まで、被災者一人ひとりに寄り添い、全ての被災者を取り残さない支援を粘り強く続けていくことを強い決意をもって表明致します。
2025(令和7)年1月6日
金沢弁護士会
会長 髙 木 利 定