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国選弁護制度の基礎報酬及び各種弁護費用の抜本的改善を求める会長声明
国選弁護制度の基礎報酬及び各種弁護費用の抜本的改善を求める会長声明
国選弁護制度の基礎報酬及び各種弁護費用の抜本的改善を求める会長声明(PDF書類)
国選弁護制度は、憲法34条及び37条3項が保障する被告人及び被疑者の弁護人依頼権を実質化し、 刑事手続の適正を確保するのに不可欠な制度である。
国選弁護制度の対象範囲がかつての起訴後の被告人段階から捜査段階に拡大し、また、社会の変化にともない、国選弁護人の活動も複雑、多様化し、迅速性や高度な専門的知識、技術が求められる時代となっている。
これに対し、本来、労力に応じて適正に支払われるべき国選弁護報酬は、長年にわたり、その基礎報酬の低い金額に変化はなく、障がいをもつ被疑者・被告人の弁護活動、要通訳事件における通訳・翻訳費用、示談交渉や被害弁償、接見、記録閲覧謄写、専門家による鑑定・意見書の作成等々、必要な国選弁護費用が支給されなかったり、支給されたとしてもその額が著しく低額のため実際にかかる費用を賄うことができなかったりしている。このような基礎報酬や各種弁護費用の不支給ないし著しい低額の状況は、充実した国選弁護活動に支障を及ぼしかねず、ひいては、被疑者・被告人の重要な利益を損ね、最悪の事態として、国家の最大最悪の人権侵害といわれるえん罪の発生につながりかねない。
そもそも、国選弁護人の報酬は国家予算のうち司法関連予算に組み込まれているところ、社会情勢の変化や国選弁護活動の高度化、複雑化にかかわらず、司法関連予算は、長期にわたりほぼ横ばいに等しい微増傾向にしかなく、対国家予算歳出に占める司法関連予算や国選弁護人確保業務等委託費の割合は低下しており、国選弁護制度という重要な人権課題に対応するための予算が立ち後れていることは統計上明らかである。
国選弁護制度は、刑事司法制度の根幹をなすものであり、その充実化は国の責務である。適正な刑事手続を確保し、えん罪を防止するためには、国選弁護人が十分な時間と労力を投入することのできる環境を整備することが不可欠である。そのためには、抜本的な改善策として、国選弁護の基礎報酬の大幅な引き上げ及び各種国選弁護費用の適切な補償を行う必要があり、これは現代の国選弁護制度における喫緊の課題である。
よって、当会は、国に対し、国選弁護制度における基礎報酬及び各種弁護費用について、大幅な増額に向け、抜本的に改善することを強く求める。
令和8年(2026年)3月26日
金沢弁護士会
会長 山 村 三 信








