-
死刑執行に抗議する会長声明
死刑執行に抗議する会長声明
1 令和8年(2026年)8月21日、死刑確定者1名に対して死刑が執行された。
日本弁護士連合会が、第59回人権擁護大会(平成28年10月7日)において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択したにもかかわらず、今回、死刑が執行されたことは極めて遺憾である。
2 死刑は、生命を剥奪するという刑罰であり、国家による重大かつ深刻な人権侵害である。いかなる理由を付しても、国家が個人の生命を剥奪することは許されない。
3 刑事司法制度は人の作ったものであり、その運用も人が行う以上、誤判・えん罪の可能性が常に存在する。
実際、誤判・えん罪事件は後を絶たず、死刑事件に限っても、1980年代に免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件という4件について、2024年10月には袴田事件について、いずれも確定した死刑判決が再審で覆り無罪となっている。
誤判・えん罪は決して許されるものではないが、こと死刑はこれが一旦執行されると取り返しがつかない最悪最大の人権侵害が発生する。
4 死刑制度が他の刑罰に比べ犯罪抑止効果があることを実証した研究はなく、死刑の犯罪抑止効果の議論は統計的・科学的な結論をみるに至っていない。
5 2025年時点で、法律上又は事実上の死刑廃止国は145か国に及び、世界で3分の2以上を占めている。しかも、実際に死刑を執行した国はさらに少なく、2025年における死刑執行国は17か国のみである。なお、OECD(経済協力開発機構)加盟国38か国のうち、死刑を国家として統一して執行しているのは日本だけである。
国連の自由権規約委員会、拷問禁止委員会や人権理事会は、日本に対し、死刑を廃止すること、死刑廃止条約への加入を検討すること等について,何度も勧告を行っている。
死刑廃止は、国際的な趨勢である。
6 ところで、人の命が奪われるような犯罪が起こったとき、被害者や遺族の無念さや悲しみ、絶望感は計り知れず、被害者や遺族が厳罰を望むことは自然なことである。
しかし、死刑によって被害者や遺族の感情が癒やされるとは限らず、また、死刑に対する被害者や遺族の思いも様々である。
犯罪被害者・遺族に対する支援は、当会を含め社会全体の重要な責務である。
当会は、犯罪被害者・遺族に対する支援制度の改善・拡充にも全力を挙げて取り組む所存である。
7 よって、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、政府に対し、死刑の執行を直ちに停止し、死刑制度の廃止を目指すことを求める。
以 上
令和8年(2026年)8月21日
金沢弁護士会
会長 髙 見 健次郎








