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逮捕・刑事事件Q&A
Q6.弁護士はなぜ悪い人を弁護するのでしょうか(2)
A6.
刑事裁判において、その人が起訴された事実を行ったことは間違いないと判断された場合であっても、果たして本当にそれが刑罰を科さなければならないような犯罪といえるのかが、問題になることがあります。
たとえば、このような事例はどうでしょうか?「Aさんの夫が不倫をしました。Aさんは、夫の不倫相手に慰謝料を請求しようと考え、電話をしたところ、興奮のあまり、つい『払わなかったらどんな目にあうかわかっているの!』と怒鳴ってしまいました。後日、Aさんは恐喝未遂の容疑で逮捕され、裁判になってしまいました。」
このような場合、Aさんが起訴された行為自体を行ったのは事実です。しかし、それは恐喝なのでしょうか。
犯罪として罰するべきものでしょうか。
日本では、犯罪を行ったとして処罰されるためには、いかなる行為が犯罪とされ、いかなる刑罰が科されるかがあらかじめ法律で明確に定められていなければならないとされています(これを「罪刑法定主義」と言います)。
では、Aさんの場合はどうでしょう。刑法249条1項によると、「人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と書いてあります。
同250条にはその未遂罪も罰せられると書いてあります。
問題は、恐喝とは何かと言うことですが、脅迫して金銭などを交付させることです。そして脅迫とは、「相手方を畏怖させる害悪の告知を行うこと」とされています。
Aさんの行為が果たしてそれにあたるのでしょうか。
少なくとも、Aさんは自分の行為が犯罪になるなどとは夢にも思っていなかったでしょう。
そこで、Aさんの立場に立って、Aさんの行為が犯罪にあたらないと主張する人が必要になります。
このように、被告人の行った行為それ自体には争いがない場合でも、それが法律にあてはめて犯罪として罰するべきかどうかが争いになる場合、被告人の立場に立って、弁護することが必要になるのです。そして、そのためには豊かな常識と法律の専門知識が必要です。
このような役割を担っているのも弁護人なのです。